ペットの防災と飼い主の役割

9月1日は防災の日、皆様は備蓄品の確認や対策などはされたでしょうか。
今回はペットの防災について書いてみます。

災害時、飼い主の役割として重要なのは

  1. 災害に備えておくこと
  2. ペットとの同行避難
  3. 避難先での適切な飼育管理

です。

災害への備えは、自宅の防災対策(耐震構造、家具の転倒防止など)、
物資の備蓄、家族や親戚などへの連絡手段の確認などがあります。
まずは「人の安全の確保」をはからなければなりません。
それは人命尊重というだけでなく、
人の安全を確保できなければペットの安全も確保できないことにつながるからです。
阪神・淡路大震災以来、書店では様々な防災対策本が売られていますし、
ホームセンターに行くと防災グッズも充実しています。
こうしたものに目を通し、対策をしておくといいでしょう。
東京都が出している「東京防災」、こちらはイラストがふんだんで分かりやすく、
内容も非常に充実していてとても良いです。
ネットで読むことができますよ。

http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/main/index.html

被災した際は「ペットとの同行避難」が原則です。
よく誤解をされているのですが、ペットとの同行避難とは避難先でペットと一緒に暮らすことではありません。
避難先まで飼い主がペットを同行して安全に避難することをいいます。
ですから、避難先でペットの生活する場所が確保されているわけではないのです。
同行避難の後は、自宅や周辺が安全であれば帰宅して自宅避難、
人は避難所で生活し動物は自宅で飼育、
人と動物が避難所で共に生活する避難所飼育、
などがあります。

動物の防災対策としては、

  • 迷子対策
  • 食餌対策
  • 健康・衛生対策
  • 安全確保のためのトレーニング

が必要でしょう。

迷子対策としては犬の場合は鑑札・狂犬病予防接種注射済票を着けることがあげられ
これは法律でも定められていることです。
狂犬病予防接種を受けていることが分からないと、
避難所や動物救護所で受け入れてもらえないこともあります。
しかし被災した状況では鑑札や注射済票だけでは飼い主がすぐには分からないことが考えられるので、
迷子札も付けておくと良いでしょう。
また小型犬には鑑札や注射済票が大きすぎるので着けていないことも多いです。
ここは各自治体などで小型軽量化するなどの改善をはかって欲しいものです。
さらに近年はマイクロチップが推奨されています。
私も迷子の柴犬を保護し、飼い主が見つからないまま1週間ほど保護していたことがありますが
「マイクロチップさえ入っていたら…!」
ととても歯がゆい思いをしました。
東日本大震災の被災地でも同様のことがたくさんあったそうです。
中には迷子の動物を保護し、飼い主を探さないまま次の里親に譲渡してしまうというケースも耳にしたことがあります。
マイクロチップは体内に埋め込むのでいや、かわいそう、など
飼い主側の心理的抵抗があるのが欠点ですが、
近年マイクロチップの大きさもさらに小さくなり、挿入時の動物への負担も小さくなりました。
鑑札・注射済票・迷子札は外れてしまうこともありますが、
マイクロチップならば確実です。
まだマイクロチップを入れていない飼い主さんは検討してみてもよいのではないでしょうか。

迷子札

犬の鑑札をモチーフにしたオーダーメイドの迷子札。裏には名前と電話番号が刻印できます。

避難先での適切な飼育管理として、
ペットの食べ物を数日分備蓄しておく食餌管理がまず大切です。
ドライフードなどは長持ちしますが、備蓄用にしておくと古くなって劣化してしまいますので
新しいフードを買ったら保存しておいたものを消費し、
それが無くなったら前回買っておいたものを使い、また新しいものを買うという風に
サイクルでおこなっていくと良いでしょう。
また、ドライフードだけだと被災状況では飲水量が十分に摂れないことがあるので
保存のきく缶詰やレトルトのウェットフードも確保しておくのはおすすめです。
(ちょっと重くなるのが難点ですね。)

意外とあるのが、動物に給餌するための食器がない、
食器が変わると食べない(特に猫など)ということです。
折り畳み式の動物用食器も用意し、日頃も時々それを使って食べさせるようにしておくといいです。

ヤミートラベルボウル

三つの器を一つに組み合わせることのできるシリコン製の食器。密閉できるので中に水やフードを入れてもこぼれません。

ヤミートラベルボウル

健康・衛生対策としては、常用している薬があればそれを数日分確保しておくこと、
応急処置用の薬や道具を用意しておくことがまずあげられます。
被災時は獣医療を受けることが難しくなるので、持病があり常用している薬がある場合は
数日分の確保があると安心です。
体重の増減で薬の量も変わりますから、あらかじめかかりつけの獣医師に相談しておく方が良いでしょう。
また、動物は人間以上にケガのリスクが高まります。
応急処置用の薬や包帯などは普段から常備しておくと、災害対策以外でも安心です。
そして忘れてはならないのはワクチン接種です。
例えば被災地ではネズミが大発生しましたが、ネズミはレプトスピラという人獣共通感染症を媒介し、犬にも感染します。
自分の犬が感染しないようにするだけでなく、
感染した自分の犬が他の人に感染症を移さないようにするためにも
ワクチン接種は大切なことなのです。
さらに繁殖制限(去勢・避妊)についても述べておきます。
被災地で飼い主とはぐれたペットが他のはぐれた動物と繁殖行動をし、増えてしまうことが問題視されています。
これらの増えてしまった動物は野良犬・野良猫問題となり、
やがては殺処分へとつながってしまいます。
未去勢・未避妊でも飼い主がしっかり管理していれば平時は問題がなくても、
被災時にはぐれた場合はそうは行かないということを知っておいてください。

最後に、動物の安全のための対策です。
Ataraxiaではドッグトレーニングを始める前のご説明で
「これだけはできるようになりたいこと」
「これはしない(やめさせる)こと」
をリストアップしてお話しています。
これらは人と犬の日常生活を楽で楽しく快適にするだけでなく、
災害時も想定しておこなっています。
例えば人に慣れておくことは、迷子になったりケガをしたりした場合に保護される可能性を高めます
人馴れや他の動物慣れ・環境慣れをしておくことは、避難所で生活をしなければならない場合に
動物自身のストレスを軽減し、他の人々へ迷惑をかける可能性を減らします
犬の場合は、おいで(来い)、おすわり、待て、などの基本トレーニングは危険回避に役に立ちますし、
人の指示を聞くようにしておくことは前述のように保護される可能性を高め、
全体的な安全確保につながるのです。
避難所ではケージやクレート、段ボール箱の中で過ごさなければいけないことも想定されますから
ハウストレーニングは必須です。
犬の場合はその習性から、適切にトレーニングをすればハウスのような個室は落ち着くスペースになります。
逆にトレーニングができていないと、閉じ込められたストレスから吠えたり暴れたりするので
犬自身と周囲の方々へのことを考えると、ハウストレーニングは欠かせません。
猫は屋外に出ますと感染症にかかるリスクが非常に高いので、
日頃から室内飼育をし、キャリーバッグ等の練習もしておくと良いでしょう。

ハウストレーニング

大きな段ボール箱は犬の遊びにもハウストレーニングにも使えます。

ソフクレート

丈夫な布製のクレート。折り畳みができるので便利です。

ハウストレーニング。
ハウストレーニングは家の中だけでなく、屋外などでもおこなうと効果的です。

普段のお散歩のときは決められたコースを決められた時間に歩くのではなく、
ランダムな時間にランダムな場所を歩くのも良いでしょう。
それが環境の変化への適応につながります。
地域の防災拠点や避難場所を確認しながら散歩をすると一石二鳥ですし、
愛犬を連れての旅行やドライブも知らない土地への適応や同行避難の練習にもなります。
動物はケガをしやすいですから、服や靴を身につける練習も役に立ちます。

犬の靴

犬の服とゴム製の靴。被災地ではがれき等で足を傷つけやすく、特に大型犬は抱えて連れて歩くことが困難なので、靴を履く練習をしておくのはおすすめです。

防災対策は日常の中にも散りばめられています。
対策をすることは愛するペットを守るためだけでなく、
飼い主としての社会への責任を果たすことにもなります。
ぜひ、楽しみながら対策をしてくださいね!

Ataraxia 蓮

防災対策は人についても動物についても語り尽くせないほどたくさんあります。
より詳しく知りたい方へ、環境省による
「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をご紹介します。

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html

 

 

 

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