犬の甘噛み・噛みぐせを放置しないで

最近、咬む犬の飼い主様からのご依頼が増えています。

なぜ咬むのでしょうか?

犬にとって咬むのは本能的な自然な行為です。
恐怖、威嚇、怒り、相手との力関係を確かめる、自分の力を示す、自分の要求を押し通す、など
自分の意思を伝え、自分を守るための犬にとっての手段の一つです。
咬むと自分にとって不都合がある、あるいは咬む必要などないということを学習しないと
いつまでも咬むことは無くなりません。

よく、子犬の頃に「甘噛みだから」と
子犬がじゃれついて手などを噛んでくるのをそのままにしている人がいます。
「家族にしか噛まないので」
という人もいます。

それでいいと思いますか?

たとえ力のゆるい「甘噛み」であっても、家族にしか噛んでこなくても、決してそのままにしてはいけません。
放置していると、犬は

「人の手を噛んでもいいんだ」

と学習してしまい、他の人をも噛むようになってしまうおそれがあります。
ゆるい甘噛みであっても、家族ならそれに慣れているかも知れませんが
他人にとって「犬の歯が当たった」というのは大きなショックになります。
もしそれが子供であれば、子供は言葉の表現がまだ十分ではありませんから

「かんだー!」

と言うかも知れません。
それを聞いた保護者の方はどう思うでしょう。
大問題に発展する可能性だってあるのです。

さて、犬に咬まれるのはトレーナーの恥ともいいますが、
さすがに何匹もの犬に会っていると、中にはこういうことも起きます。

犬に咬まれた傷

やられてしまいました。
受傷の翌日の状態です。
まだ生後半年にも満たない小型犬が服の上から咬んだだけでもこれです。
仕事上こういうことは起きうるので問題にしていませんが、
誰かの飼い犬が一般の人を咬んでこのような傷を作ってしまったらどうなることでしょう。

また、犬は甘噛みをしながら相手の反応や力関係を確かめているといいます。
子犬の甘噛みを放置していると、成長とともに顎の力もだんだん強くなり
人はやがて噛まれることに恐怖感を感じるようになってきます。
犬は人が恐怖を感じ怯えていることを察知します。

噛みつく力が強くなる→人が怯える→犬は自分の要求を咬むことで押し通そうとする→いうことを聞かなくなる→手に負えなくなる

というサイクルができはじめ、
その内に咬まれることが怖くて犬を構わなくなり、
トレーニングの機会も減り、
犬とのコミュニケーションも取らなくなり、
やがて犬をかわいいと思えなくなり、
虐待や遺棄、殺処分

などという最悪の結果を招きかねません。
これでは人も犬も不幸になってしまいますね。

犬の噛み癖は甘く見ず、決して放置しないで、
しっかりとトレーニングしてやめさせるようにしましょう。

 

 

ドッグトレーニング体験者の生の声をお聞きしました

犬と暮らしている方には、しつけが今ひとつなのだけれどこのままでいいのか、
ドッグトレーニングを受けた方がいいのか、
トレーニングを受けるとどう変わるのか、気になっている方もいらっしゃるでしょう。
Ataraxiaでレッスンを受けて下さった方に生の声をお聞きしました。
実際の飼い主様の生の声は、とても参考になると思います。

Q1. まず、犬との暮らしで困ったことを教えてください

2匹で飼っているので、この2匹を別々にできない(分離不安)や、
病院など自分の嫌なことは絶対にしない
猫がいるところに行くと非常に興奮してしまうことなどでした。

2匹を別々にできないと、どちらか片方だけ連れて外出する必要があるときに困りますね。
興奮がひどいと無駄吠えや強い引っ張りなどで、お散歩も大変だと思います。
こうしたことがあってトレーニングを受ける決意をされたのですね。

Q2. では、犬を飼い始めて良かったことを教えてください

Ataraxia_dogtraining_A (3)人間だけでは解決できないような気持ちの問題も含めて、
人間だけではなく家族として、気持ちも健やかに過ごせるようになりました。
子供にも同じように育って欲しいと思います。

人の悩みを動物がふと癒してくれること、ありますよね。
人間だけの暮らしでは行き詰ったり息詰まったりするところに動物が介在して
空気が変わったり、新しい道が開けたりします。

Q3. ドッグトレーニングを始めて変わったことを教えてください

Ataraxia_dogtraining_A (1)落ち着きが出るようになり、アイコンタクトもできるようになりました。
外などでは制御ができませんでしたが、それができるようになりました。
こうして外でオスワリなんて、以前は考えられませんでした。
それに、子どもにとっては妹や弟のような存在ができ、
自分のことだけでなく他のものにも気を遣わなければいけないということを学ばせることができました。

お散歩中の抜き打ちオスワリもバッチリです☆

 

室内で飼っていれば犬が起こす問題の多くは家の中だけで済みますが、
他の人に迷惑をかけてしまったり、犬や人が危険な目に遭うのは外に出たときが多いです。
家の中だけでなく、外でもどんな所でも指示を聞かせられるというのは大変大切なことです。
ドッグトレーニングをおこなって「指示が聞ける犬」にできたということは、
犬も人も守れる手段を身につけたということなのです。

また、時間やお世話、癒されるひととき、自分に向けられるはずだった家族との時間を犬に与えたり、与えられたりしたという経験は
お子様の今後にとっても必ずや活かされると確信しています。
単なるしつけだけではない価値を得られたことと思います。

Q4. トレーニングを始めて良かったと思うことは?

Ataraxia_dogtraining_A (5)やってみて、全般的にしつけの基本ができていないのだと気付きました。
外でオスワリしたり、こっちを向いてアイコンタクトができるようになったことだけでも大分楽です。
人間と生活する上では一定のルールを犬にも守ってもらわないと一緒に暮らせないので、
しつけで、人の世界にもっともっと出せるように、なれるようにしていきたいです。
しつけをして大分その辺が変わって効果が出てきているので、もっと続けて行きたいと思います。

基本のリーダーウォーク中。いつも一緒の二匹だけど、飼い主さんに集中して別々に歩くこともできるようになったね。

Ataraxiaでは
「意思の疎通ができれば犬との暮らしはもっと快適に楽しくなり、いろいろな可能性が広がる」
ことを提唱しています。(→詳しくは「ドッグトレーニング(犬のしつけ)」のページをご覧ください)
そのことを実感して頂けたようで、私もとても嬉しく思います。
また、「しつけはできていると思うけど、実はきちんとできていなかった」
というのも、多くの飼い主様にありがちなことです。
ドッグトレーニングのレッスンを受けることで、
自分の犬のしつけがどの程度できているのか客観的な判断を得られるのも
メリットのひとつですね。

Q5. 最後に、犬との暮らしで今後できるようになったらいいという夢はありますか

Ataraxia_dogtraining_A (6)とにかく幸せにしてあげたいと思います。
色々なことを教えてあげたいし、教えてあげるにはルールを守ってもらわなければなりません。
旅行に行ったり、犬仲間と交流したりしたい。そのためにはもっとしつけが大事だと思っています。
この子たちは保護犬でしたが、殺処分などの悲しい目に遭う子がいるので、もっと幸せにしてあげたいですね。

ほめられて、とっても嬉しそう♡

―ありがとうございました。

Ataraxiaではいつも、「動物も家族の一員であるからには、しつけも世話も家族ぐるみで」
をお話ししています。
こちらのご家族も、全員でトレーニングのレッスンを受けることはできなくても
私がお話ししたことをご家族で共有し、みんなでトライして下さいました。
このインタビューをお願いしてから数か月経っていますが、
今や「外でアイコンタクトやオスワリ」どころではなく、目覚ましい進歩と向上を果たしています。
元からこのようにしつけの行き届いたイイコだったのではないかと思ってしまうくらいです。
それもこれも、日々工夫と努力と反復を重ねて下さったおかげです。

Ataraxia_dogtraining_A (7)
アイコンタクトもバッチリ!

 Ataraxia_dogtraining_A (9)

「待て」の練習。
今は遠く離れていても「待て」ができるようになり、
キッチンで食事を用意している間も別室の自分のハウスで待てるようになったんですよ!

 

これからも頑張ってね。

Ataraxia_dogtraining_A (8)エヘッ♡
どうです、いい笑顔でしょう?幸せなのがよーく伝わってきますよね(#^^#)

 

 

新しい家族と新しいトレーニングで新しい幸せを得た犬たち

今回はトレーニング中のワンちゃんたちをご紹介します。

以前も記事で書きましたが(→「ドッグトレーニングは飼い主さんとの復習が大事」)、
ドッグトレーニングは飼い主さんによる毎日のトレーニングが不可欠です。

dogtraining (6)
ビシッと決まっていますね!

さてこの2匹のワンちゃん、実は新しい飼い主さんです。
元は別の方の所で暮らしていました。
ライフスタイルが変わり、今までのしつけでは不十分になり新しいトレーニングが必要になることがあります。
この子たちもそうでした。

最初のご要望は、これまでお散歩中に外で排泄をしていたのを、室内でもできるようになりたいということ。

既に成犬なのですが、トイレをしつけ直すことは可能です。
私からはトイレトレーニングの概念(考え方)と方法、
そして子犬にトレーニングするよりも時間と根気が必要であることをお話しました。

今回お伝えした方法を実践するには、飼い主さんにも相当の努力が求められます。
それは飼い主さんの心の強さとも言えるもので、
「大丈夫かな…できるかな…」と、私はいつも少し心配しながら見守る気持ちで次のトレーニングの日を待ちます。

が、私のそんな心配は無用でした。
こちらの飼い主さんは私がお話したことを実施するのに加え、
2匹の排泄の時間、回数、失敗か成功かまでしっかりメモを取って下さり、
見事2匹ともトイレトレーニングを成功されました。
そのしっかりした細かなメモには、私も驚くとともに大感激!

犬のトイレトレーニング
今やもうトイレはバッチリです!

この他、「掃除機の音で吠える」というお悩みがあり、見たところ掃除機に対してかなり強い嫌悪感がある様子。
過去の嫌な経験などもあったのかも知れません。
このトレーニングは長くかかるかなと思いながら、系統的脱感作というもののお話をし、
トレーニングを進めていくことになりました。

トレーニングはやり方だけでなく、その概念(どうしてその方法が効果があるのか)を知っておくことがとても大切です。
それが分かっていれば他のトレーニングへ応用させ、どんどん幅を広げることができます。

…すると、なんとなんと!
次のトレーニングまで少し日が開いたのですが、
その間に私がお話していた方法と考え方を元にご家庭でトレーニングを進め、問題解消できてしまったのです!!

私は二度も嬉しいビックリでした!

私のドッグトレーニングは動物の行動学はもちろんのこと、
心理カウンセリングや社会福祉援助技術を応用しています。
これは他のドッグトレーニングや犬のしつけ教室と大きく違う所かと思います。
ドッグトレーニングでも心理カウンセリングの場でも、クライエントさんの成長と思わぬ強さを見ることがあります。
そもそもそれを援助するのがカウンセリングや社会福祉援助なのですが、
こうして「犬(という問題)」をきっかけに、「犬と一緒に」解決し進歩する姿と強さを見せて頂いたとき、
私は何とも言えない感動を覚えるのです。

こちらのワンちゃんたちは、元は別の飼い主さんでした。
自分で求めた犬の問題ならいざ知らず、他の方から引き受けた犬の問題に取り組まなくてはならないのは、
通常以上の精神的苦労があって当然です。
よくぞここまで頑張って下さったと感服せずにはいられません。

こちらの2匹は歯磨きトレーニングも受けて頂いています。
歯磨きトレーニングの様子も後日ご紹介いたしますね。

dogtraining (7) dogtraining (4)
いっぱい頑張って、いっぱい幸せにしてもらってよかったね!(*^▽^*) 

☆ Ataraxiaはすべて飼い主様のご承諾を得て記事にしております。

 

 

保護中: LIONペットのしつけとオーラルケア

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ドッグトレーニングは飼い主さんとの復習が大事

お久しぶりの投稿になってしまいました。
かなり多忙な時期と大事なイベントが重なってしまい、この間、色々な事がありました。

ようやく慌ただしさも落ち着いた今日、とても嬉しいことがありました。
ドッグトレーニングを受けて下さっている方から、
「犬の様子が変わってきたのを感じる」
という言葉を頂いたのです(^^)

トレーニングを受けていれば当たり前の事と思われるかも知れませんが、
意外と自分の犬を観察していない飼い主さんは多いものです。
変化に気づくということは愛犬を注意深く見ている証です。
その事も嬉しかったでのですが、
犬の様子が変わってきたのは、とにかく飼い主さんご自身が日々のトレーニングを頑張って下さっているからに他ならず、
それが何よりも嬉しいことでした。

Ataraxiaの出張のトレーニングは学校の授業のようなものです。
授業の時間内だけですべてを覚えることはできませんね
授業は「知り」「理解」する場です。
その「知って、理解した」知識を定着させるためには日頃の自分での復習、
すなわちご家庭での反復したトレーニングが欠かせないのです。
しかし中にはあまり練習していなかったり、
犬と飼い主さんの勉強の時間は出張トレーニングの間だけ、という方も残念ながらいらっしゃいます。
少ししか練習していないのに、犬がすぐ覚えないと
「こんなやり方でできるようになるのだろうか」
と努力をやめてしまう方もいます。
これでは成果が上がるはずもありません。
トレーニングは前回お話した内容を実践して頂いていることを前提に、次回のプログラムを組んでいます。
しかし実践して頂けなければ、出張で伺っている時間を復習の時間に充てざるを得ず、
とても残念で勿体ない気持ちになります。

犬は好奇心の強い動物です。
新しいことを教えてもらうのが大好きです。
主が喜んでくれると犬も喜びます。
そうやって、人と犬とは長い共生生活を送ってきました。

あなたの犬は、あなたを愛しているのです。
愛するあなたに教えてもらい、愛するあなたに喜んでもらいたい。
ドッグトレーニングはしつけですが、コミュニケーションでもあるのです。

snail

 

Ataraxiaトレーニング修了ワンちゃん♪

今日はAtaraxiaのトレーニングを修了したワンちゃんをご紹介します。

ピシッとお座り

 

「あっ、かばさんと蓮ちゃんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに会ったのですが、私の顔を見た途端、ピシッとオスワリしてくれました。

おすわりできるよ

 

「こうかな?こうだよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃ~んと覚えているんですね。エライ子です(^^)

賢くて気立ての良いコで、地域でも可愛がられている人気者です。 また一緒に遊ぼうね!

蓮も一緒に

 

ところで、Ataraxiaでは守秘義務を徹底しているため、基本的にお客様の情報に関わることは記事にいたしません。

なぜならば、たとえ犬に関することであろうと人に知られたくないという飼い主さんもいらっしゃるからです。
その時点ではいいと思っても、後々になって「やっぱり情報を下げて欲しい」という気持ちになることもあり得ます。
こういうことはカウンセリングの現場で往々にして起こります。
犬つながりで飼い主さん個人のプライベートが分かってしまう可能性も否定できません。

トリミングサロンや犬のしつけ教室などでお客様の愛犬の様子を紹介しているサイトやブログも多いですが、
ここが医療・心理・福祉の考え方をベースにしたAtaraxiaと他店との違いです。

今回は飼い主様が写真の掲載をご快諾下さいました。 どうも有り難うございました。

 

 

犬の歯磨きトレーニング、ご好評を頂いています!

愛犬の歯磨き、ちゃ~んと行っていますか?

3歳の犬の8割が歯周病にかかっていると言われています。
3歳で8割なのですから、何もしないで放っておくと、5歳7歳歳を重ねるにつれ…ゾーッ。
そしてもちろん3歳まで何もないというわけではなく、
1歳でもすでに歯石が付いて歯肉に炎症が起きているコもたくさんいます。

犬の歯垢(しこう)はわずか3~5日で歯石化してしまうのです!

ですから、おうちでのこまめな歯磨きが大切なのですね。

でも、
「歯磨きが必要なのは分かっているけど、できるかしら…」
「道具や方法など、どうしたらいいのか…」
「犬が嫌がりそうで…」
など、ハードルが高く感じられているのも事実です。

Ataraxiaでは愛犬を「歯磨き大好き犬」にすることを提唱しています。
そうすれば日々の歯磨きが愛犬にとっても飼い主さんにとっても苦でないばかりか、
楽しいコミュニケーションにもなります。

そこでAtaraxiaでは、ただのお口のケアだけでない、飼い主さんも愛犬も楽しめる歯磨きレッスンを行っています。
歯科医師と獣医師がオススメのデンタルケアグッズ歯磨き方法のDVDを詰めた
「Ataraxia歯磨きスターターセット」もパワーアップし、おかげ様で大好評!!
レッスンでは、歯科医師も獣医師もおすすめするデンタルペースト(歯磨き粉)を、
なんとなーんと5種類も味見もできちゃいます!
これなら、せっかくデンタルペーストを買ったけど愛犬の好みに合わなかった… なんて心配もないですね(^_-)-☆

もしかすると日本で唯一!? 歯科医師兼ドッグトレーナーだからできる愛犬のお口のケア、
あなたとパートナーも受けてみませんか?

☆獣医師法に基づき、飼育動物の診療行為は行いません。
Ataraxia歯磨きキット

 蓮「何が入っているかは開けてみてのお楽しみだよ♪
でも…ちょっとだけお見せしちゃおうかな☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

犬の歯磨き

 

歯磨きのDVD映像教材の一部です。

 

歯磨き大好きな犬の動画は、こちらをご覧下さいネ。
http://wp.me/p4aLmk-3D

 

 

 

蓮、3歳の誕生日に

今日、2013年6月19日は蓮の3歳の誕生日です。
この節目に、今までの事を振り返ってみたいと思います。

蓮と出会う前、私は自分がまさか動物関係の仕事に就くとは思ってもみませんでした。
大学受験の際も、医療系、特に医学部や歯学部を受験する学生は、
薬学部や獣医学部もあちこち併願することが多いものです。
(まったく仕事の内容は違うので考え物ですが…。)
しかし私は獣医学部は1校しか受験しなかったほど、動物のことは頭にありませんでした。
動物は大好きですが、あくまでごく一般的の飼い主としての「好き」であり、
仕事にするという発想は全く無かったのです。

これまで様々な犬や鳥、動物と暮らしてきて、
それでも動物関連の仕事に就こうという発想が起きなかった私を動かしたのが、蓮でした。

それまで飼ってきた犬も普通にしつけをし、日常生活上で困ることも何も無かったのですが、蓮は違いました。
噛む、落ち着かない、いつまでも従順さを示さない、拾い食い、誤食、食糞、他の犬に吠える…
今までの犬で困ることのなかった、ありとあらゆることで私を悩ませました。
とにかくそれまでのしつけ方法では効果がなく、 このままではとんだ問題犬になってしまうと焦った私は、
ありとあらゆる本や映像資料、講習会などを利用し、しつけを一から勉強し直しました。

それによると、現在では飼い主さんの意識も随分高くなり、
以前では行わなかったようなトレーニング…たとえば「脚側行進」や「クレートの中で過ごす」などが
一般的なしつけの一環として行われているということを知りました。

大変です。
蓮の問題も修正し、「オスワリ」や「オイデ」だけではない、
もっとたくさんの事を教えなければならないのです。

それからは文字通り血眼になって、自分での勉強と蓮のしつけに明け暮れました。
仕事の前に時間を作って散歩とトレーニング、
蓮の安全を確保でき、退屈せずにお留守番できるような環境を作ってから出勤、
クタクタになって帰って来てから、蓮が汚した犬用ベッドやサークルの掃除と洗濯、
そしてまた散歩とトレーニング… 毎日のことも本当に大変でした。
疲れていて体ももう動かない、心のエネルギーも枯れ果てそう。

「犬を飼うってこんなに大変だったかな!?」

久しぶりに子犬を育ててみて、改めて犬を飼う大変さを知りました。
他に頼れる人もなく、時には不安で押しつぶされそうになったり、
育児ノイローゼならぬ、育犬ノイローゼになるんじゃないかと思うほどでした。
「飼うと決めたからには、必ずきちんとした犬に育て上げてみせる。そうしなければならない」
という責任感だけが私の原動力でした。
そして… 幼くして親犬から引き離され、誰だか分からない人間の元にやって来た この小さな命は、私を頼るしかないのだと。
関わったからには、この子を幸せにする義務がある。 その思いで動いてきました。

やがて、

「あれ…毎日がそんなに大変じゃない」

と気付いた時がありました。
物凄く大変でしたが、数々のトレーニングを重ねてきたおかげで
蓮との暮らしがとても楽になっていたのです。
日常生活のしつけ、マナーを身に着けたからだけでなく、
トレーニングを通じて意思の疎通ができるようになっていたからでした。
教えていないような事柄でも、蓮が私の意思をよく汲み取って私の望むような行動を取ってくれたり
蓮が自分でよく考えて、自分の意思を私に伝えようとしてくれたりするのです。
それはまるで、人と暮らしているのと変わらない感覚でした。

蓮との暮らしが快適で楽しくなってくると、周りのことにも色々気付くようになってきました。
その一つは、犬と散歩している他の飼い主さんの中には、とてもつまらなそうに、
義務感だけで歩いているかのような人が少なくないことでした。

私は蓮との散歩が面倒くさいとか苦痛だと思ったことはありません。
なぜならば、蓮とは同じものを見て、感じて、時々指示を出し、蓮はそれに従い、
すなわち語り合いながら歩けるからです。 散歩に行くたびに絆が深まっていくのを感じます。

また、犬が言うことを聞かない、問題行動があるという理由で犬への愛情を失い、
果ては犬を手放してしまう飼い主さんの話も多く聞きました。
これらは本当に悲しく残念なことです。 犬も不幸だし、人も不幸です。

犬のしつけを正しく行い、意思疎通ができれば 犬との暮らしはとても楽しく快適なものになります。
このことを、つまらなそうに散歩をしている飼い主さんや、犬への愛情を失いつつある飼い主さんに伝えたい。
そして、そのような犬と飼い主さんを減らしたい。そうなることを食い止めたい。
その一方で、犬のしつけや生活の問題など、犬との暮らしの苦労も痛いほどよく分かるので
そうした飼い主さんの心理面もサポートしていけたら…

ちょうど私は、歯科臨床、教育、カウンセリングという分野に携わり
今後どのように生きていくかを模索している時期でした。
せっかく様々な経験を積んできたのだから、どれか一つの分野に絞り込んでしまうのではなく
培ってきた全てを活かせるような仕事がしたい。
でも、歯科医療、教育、カウンセリングはそれぞれ独立した分野です。接点はあるけれど少ない。

何かがぐるぐると回り始めた瞬間でした。

医療の分野は動物の健康について。
教育の分野は、ドッグトレーニングや飼い主さんへの伝え方について。
カウンセリングや心理学の分野は、飼い主さんと動物の心理面からのサポートに行かせますし、
学習心理学や行動療法など心理学の知識はドッグトレーニングに大変重要です。
今まで私が力を入れて生きた「惨事ストレス」やトラウマ、PTSD、危機介入の分野は
ペットロスやターミナル期のカウンセリングにつながります。

生き方に悩んでいた私を、犬との暮らしに悩んでいる飼い主さんを、
愛する動物を亡くして悲しみに暮れている飼い主さんを、蓮がつないでくれたのでした。
蓮との出会いは、今思い起こしても運命的だったとしか言いようがありません。
不思議な糸に引かれての出会いでした。
それはまさに、私の人生に運命づけられた犬だったからだと思うのです。

私がドッグトレーナーになったことにより、 蓮にも数奇な運命を背負わせてしまいました。
でも蓮は私の期待を上回る活躍を見せてくれ、私のパートナードッグとして頑張ってくれています。
時にはお客様への見本となってもらうため、トレーナーの犬としてのトレーニングを入れなければなりませんでしたが
私も蓮ももう辛くはありません。 お互いの意思が、気持ちがつながっているからです。

犬と暮らすこの楽しさを、喜びを、多くの飼い主さんに伝えたい。
人と犬の運命の出会いの前から、楽しい人生・犬生を経て、やがて虹の橋の向こうまで…
これは、蓮がもたらしてくれた「プロジェクト」でもあるのです。

蓮、いつもどうもありがとう。 3歳のお誕生日おめでとう。

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拾い食いは管理不足から

誤食ばかりしているワンちゃんがいます。
ちょっとシャレにならないようなものまで食べて、緊急で動物病院に行き、
吐き出させたり胃洗浄を行ったりということを度々繰り返しているようです。
なぜこうも誤食が多いのかといぶかしく思い聞いてみると、
このワンちゃんはお散歩のときに何か口にしてしまうことが多いそうです。

「ハッと気が付いてふと見ると、もう口をモグモグしているんですよね。」

とは飼い主さんの弁。

さて。お散歩の時も犬から目を離さずにきちんと管理していますか?
お散歩時に誤食をしてしまう犬の飼い主さんに意外と多いのが、

  • スマホや携帯をいじっている
  • 誰かと立ち話に興じている
  • 伸びるリードで散歩させている

などです。
つまりは犬から目を離してしまっているんですね。
「まさかこんなものを食べるとは思わなくて…」
「犬は動物だから本能的に、口にしてはいけないものは分かると思っていました」
という言葉もよく聞くのですが、口にしてはいけないものが本能的に分かるなら、
よくある 「犬に食べさせてはいけないリスト」 などわざわざ作らなくてもいいわけです。
特に子犬の頃は、何でも口にすることでそれが何かを知ろうとします。
(人間だって赤ん坊のときはそうでしょう?)

ですから、犬が誤食をしないためには、人間が管理してあげなければなりません
犬の誤食はいわば、飼い主の管理不足が原因ともいえるのです。
そこでやはり、「拾い食いをしないいつけ」をしてあげる必要があるのです。

まずは、「拾い食いをしそうになったら止めさせる」方法をご紹介します。
ポイントは
1. 落ちているものを食べようとした瞬間、即座に「いけない」「だめ」等の声をかけ止めさせること
2. 止めさせたら、止めたことに対してよーく褒めること
です。 以下の動画をご覧ください。
映像では分かりにくいですが、地面に骨タイプの食べ物が落ちています。
それを口にしようとした瞬間、「いけない」と言いながらリードを引いて阻止しました。
動画には入っていませんが、この後メチャクチャ褒めています。
蓮「かばさんはね、あたしにメロメロ甘甘なところを人に見せたくないんだよ(笑)」

これを繰り返していくと…
このように、リードを引かなくても言葉だけの指示で止めるようになります。
まだ蓮には「叱られた!」という気持ちが強く出ていて、表情が冴えませんね。
でもやがて…

 

こんな風に、「いけない」の合図で進んで止めるようになります。
この、しぶしぶ止めるのではなく、自分で進んで止めるようになる秘訣に、
「止めたことに対してよく褒める」 があるのです。

「褒める」については、意外ときちんとできていないことが多いようです。 このことはまた記事にしていきます。

愛犬の拾い食いでお困りの飼い主さんは、まず 犬から目を離さないこと、
そして止めさせて、褒める」ことに留意してみて下さい。

 

 

その言葉は通じていますか

飼い主さんとお話をしていると、よく聞く言葉があります。

「うちの犬、〇〇をしちゃうんで困っているんですよ。『ダメ』って言うんですけどね~。」

つまり「ダメ」と言うにも関わらず犬が悪さをしてしまうと。
飼い主さんは「ダメ」と言うことで、きちんとしつけをしているつもりになっているんですね

「『ダメ』と言うと、ワンちゃんはどんな反応をしますか?」
「聞かないですね~。」
「では、『ダメ』という言葉の意味が分かっていないのではないですか?」
「え…」

こう言うと飼い主さんは意外そうな顔をします。

私達は言葉を当たり前に使えているがために、
犬にもその言葉が通じると錯覚し、思い込んでいることが往々にしてあるのです。

こんな空想をしてみて下さい。
もしもあなたの乗っている宇宙船がどこかの星に不時着したとします。
そこには宇宙人が住んでいるのですが、言葉が通じません。

あなたは飢えて、その星に生えている草を食べようとしました。
すると宇宙人が 「ベレビバ!」 と叫びながらその草を奪い取りました。

あなたはきっとびっくりするでしょう。
訳が分からないと思いながらも、またその草を食べようとしました。
すると宇宙人がすかさず 「ベレビバ!!」 と叫んで邪魔をするのです。

いくらその草を食べようとしても、宇宙人がやってきて「ベレビバ」と言い阻止されてしまいます。

そんなある時、あなたはきれいな泉を見つけます。
泉の水を飲んでみようかとしたその時、また宇宙人が言うのです。
「ベレビバ!!」
あなたはきっとハッとして飲むのを止めるでしょう。

そして泉をよく見ると、魚が腹を見せて浮いていました。 泉の水は毒だったのです。

そこであなたは気付きます。
「ベレビバ」 とは、「だめ」とか「いけない」という意味だったのだと。
あの草もきっと食べてはいけないものだったのでしょう。

たった一言の言葉を覚えるのに、なんと長い道のりでしょう。
しかし我々も生まれたばかりの頃は、 こうして状況からの判断や試行錯誤を繰り返しながら言葉を覚えてきたのです。

このように考えると、わずか数歳でしかない犬が、ましてや人間ですらない犬が、
最初から言葉を理解できないのは至極当然
のことなのです。

それではどうすれば良いのでしょうか。
思い浮かべて下さい。
子供の生まれたお父さんやお母さんが、自分を指さしながら一言一言「パパ」「ママ」と教えている様子を。
子供が「パーパ」「マーマ」などと口にすると、お父さんやお母さんは大喜びします。
そんな親の姿を見て子供は嬉しくなり、その目に映っている相手をまた「パパ」「ママ」と呼んでみる…
こうして繰り返されているうちに言葉を覚えていくのですよね。

犬に対しても同じです。
「ダメ」ならダメな状況を作り、その行為を止めなければいけないということを
根気よく根気よく教えていかなければ解らないのです

口先だけで「ダメ」と言って、飼い主の義務を果たしたつもりになってはいませんか。