日本臨床獣医学フォーラム参加報告

去る2014年9月26日から28日までの三日間、日本臨床獣医学フォーラムに参加してきました。

私にとってこのフォーラムの目玉は、歯科!!
動物歯科の第一人者の先生方の発表が、出血大サービスと言わんがばかりに山盛りなのです。

歯が、歯があぁぁ~(≧▽≦)

日頃から歯科医師として、ドッグトレーナーとして、動物看護師として関心の高い動物歯科ですが
一般の飼い主さんにも伝わっている基本的な情報は私にとって当然物足りなく、
専門的な情報をもっと得たいと思っていたところで
これは外せない絶好のチャンスでした。

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場所は…

ホテルニューオータニ(2)

ホテルニューオータニ。

Ataraxia_JBVP2014 (1)

どんな講演が聴けるのか楽しみでなりません。

初日の26日は、とだ動物病院の戸田功先生によるランチョンセミナー
「歯磨きとStreptococcus salivarius K12の活用法」
と、
「動物看護師として知っておきたい歯科問診と診察時のポイント」
がありました。

Streptococcus Salivarius K12(ストレプトコッカス サリバリウス K12)は人間の歯科で注目を集めている細菌で、
口腔内にいる虫歯や歯周病の原因菌を抑える働きのある、
いわゆる「善玉菌」とされるものです。
もちろんSS-K12を使うだけでは不十分で、歯磨きでバイオフィルムという「細菌のバリア」を破壊するのは欠かせません。
これを犬猫にも応用するという試みです。
人間の歯科医療にも動物のオーラルケアにも関わっている私としては非常に興味深く、
今後の研究に期待が高まります。

ところが私は歯科医師なので、フォーラムの申込時に歯科医師という区分がなかったため
動物看護師として潜り込み参加しました。
動物看護師としても基本的にどのセミナーにも参加できるし、参加費用も安いのでしめしめ…
と思っていたらとんだ落とし穴で、
戸田先生とこの翌日に開催された藤田桂一先生の「獣医師限定」ランチョンセミナーには参加できないという盲点があったのでした!

悔しさを噛みしめながら、
「動物看護師として知っておきたい歯科問診と診察時のポイント」
に参加。
歯科に関心のない院長先生、これから手がけたい院長先生もいらっしゃるでしょうから
動物看護師が患者さんの歯科トラブルに気付き、治療につなげるという役割を持てるのはとても良いと思います。
ただの受付や助手ではなく、専門性を発揮できる役割として活躍することを望んでいる動物看護師も多いでしょう。
そうしたキャリア面でも有効ではないでしょうか。

二日目の27日は、歯肉炎を改善する動物用医薬品として承認されたイヌインターフェロンα製剤についてや、
フジタ動物病院の藤田桂一先生による
「歯周病の診断と基本的な治療手技について」

JBVP2014

これがまた…心に深くすとんと落ちるような内容で、
一つ一つがきちんとエビデンス(根拠)に基づいていて、
EBMを大事にされているのだろうということが伺えました。

医師は長年行っていると「独自の色」が出てきます。
医師独自の手技や「勘」が育つことで診断や治療の技術が向上するので良いのですが、
中には根拠のない「我流」に走ってしまう医師もいます。
「我流」は一見派手で、他にはない優れた技術であるかのような錯覚をもたらします。
人間の医科、歯科、獣医科に関わらずそうなのではないでしょうか。
しかし、それによって却って患者さんのためにならない結果を招いていることもこれまで見ているため、
学術的根拠に基づく内容を丁寧に話されてることに感服し、嬉しさを覚えたのでした。

次のランチョンセミナー「こんな時どうする?口腔疾患実践編」も聴きたくてたまらなかったのですが、
前述の通り獣医師限定…。
藤田先生は「僕は聴いてくれて構わないんですけどね」とおっしゃって下さいましたが、
今さら受付で「私、歯科医師なんですけど…」と交渉できる空気でもなく、
(そもそも、「あなた動物看護師で申し込んでいますよね?」と墓穴を掘ってしまいます^^;)
泣く泣く断念しました(T_T)

が、私の満たされない知識欲を補ってくれるかのようなものが!

JBVP_proceeding

プロシーディングです。
動物看護師向けはお値段控えめですが動物看護師用の内容のみ。
獣医師向けはお高いですがすべての内容が製本されたものかUSBメモリに入っているのです。

高い!そして厚い!でも、買いだ!!

「こ…こっち下さい」

動物看護師用の参加票を下げているのに獣医師向けを選んだ私を、
販売受付の人は暖かい笑顔で受け入れてくれました。
ありがとうございますありがとうございます。

 

三日目は、戸田先生による
「(歯科)年齢別・品種別のかかりやすいポイント」
「間違いやすいホームデンタルケアを改善しましょう」

JBVP2014

キタアアアアアア!!(≧▽≦)

これこれ、こういうの知りたかったんです!
私もAtaraxiaで歯磨きレッスンを行っているので、このセミナーで学ばせて頂いたことは非常に実践的でした。

また、ベテックデンティストリーの奥田綾子先生による
「抜歯の適応と基本手技」
「難抜歯の診断と外科的抜歯法」
は、人間の歯科で行っていることに動物歯科がここまで追随しているのだと
感嘆せずにはいられませんでした。

医師の治療スタイルには「攻めの治療」と「守りの治療」とでも言うべきものがあります。
攻めの治療は悪いところがあれば積極的にどんどんアプローチしていくスタイル、
守りの治療は現在症状がなければ経過観察をして、あまり積極的に介入しないスタイルです。
私は歯科医師としては「攻めの治療」スタイルだと自分では思っています。
奥田先生のセミナーを聴いて、
第一線の獣医師の先生方がこれ程までに「挑んでいる」ことに胸を打たれました。
場合によっては人間の歯科医の方が遅れを取っているかも知れません。
負けずに頑張らねばです。

今回の記事では歯科のことに絞りましたが、他にも

  • 東京大学の竹内ゆかり先生、日本獣医生命科学大学の入交眞己先生による動物の行動学(問題行動や常同行動)、
  • 犬山動物総合医療センターの太田亟慈先生による義肢装具学、
  • パル動物病院の小野啓先生の眼科学(犬の白内障や様々な眼科疾患)
  • アイデックスラボラトリーズ株式会社の平田雅彦先生による血液塗抹の観察
  • 北里大学の岩井聡美先生による腎臓病
  • 東京農工大学の福島隆治先生による循環器学(発作)

に参加し、ガッツリ勉強させて頂きました。

 

日本臨床獣医学フォーラムでは企業展示もあり、

JBVP

盲導犬や

 盲導犬展示

個人的に心くすぐられる外科器具…(笑)

動物外科器具

動物歯科の治療ユニットまでありました!!

動物歯科治療ユニット

歯科器材の株式会社モリタ製作所さんの機器は人間の歯科で随分お世話になっていますが、
動物歯科を行っている動物病院で見かける機材がモリタ製作所製だとは知りませんでした。
ああ~、親近感!!(≧▽≦)

これ、人間のものとは全く変わらず遜色ないスペックなんですよ。
動物歯科に注目と需要が高まっていることを感じさせます。

色々なアイテムを物色しながら歩いているときにふと目に留まり、
ブースの方にお声をかけて頂いたものがります。

それは…

エリザベスカラー

エリザベスカラー!!

なぜエリザベスカラーが目に留まったのか?
それは改めて別の記事でお話いたしますね。

 

今回のフォーラムで実感したこと。
それは、心ある獣医さんは正しいことを一生懸命広めようとしているということでした。
近年は人・動物に関わらず、根拠のない健康法や「代替医療」、「トンデモ医療」が横行しています。
動物歯科においても獣医師ではない者による「無麻酔歯石除去」なるものが出回っています。
医療やサービスを選択する際には、正しい選択ができるよう個人個人も正しい情報を得、
地に足着いた決定をする努力をして行く必要があると言えるでしょう。

 

Tタッチでホームケア

私のパートナードッグの蓮は、体調が悪いと自分で知らせにやって来ます。

特に理由もないのに私の所に来て、すがるような目つきで私に顔を近付けてくるのがその合図です。
蓮自身が何らかの不調を感じて訴えてきているのでしょうから、それはそれで不憫なことです。

ところで、「Tタッチ」というものをご存知でしょうか。
これはリンダ・テリントン・ジョーンズ氏が馬のボディ・ワークからあみだしたもので、
「テリントン・タッチ」とも呼ばれています。
今日では馬だけでなく、犬、猫をはじめ、あらゆる動物に用いられています。
マッサージに近いものといえばイメージしやすいでしょうが、Tタッチが特徴的なのは
その時の動物の状態…たとえば恐怖、興奮、緊張、いらだちのような精神的なもの、
けが、腫れ、痛みなど身体的なものなど、その時々に応じたタッチ方法がある
ということです。
また、Tタッチを通じて飼い主と動物との相互関係を築けるともされています。

私はどんな療法やケアも過信したり妄信したりすることはないので、
Tタッチも参考や補助的なものの一つとして使用していますが、
先日、「おっ?」と思うことがありました。

それは蓮が、体の異常を感じて私に知らせに来たときのことです。

パートナーの具合が悪い時は、なるべく早く癒してあげたいと思うのが飼い主心です。

私にすがって来た蓮を前に、何かできることはないだろうかと考えたところ
このTタッチが浮かびました。
そこでいくつかあるTタッチのうちの一つを試してみたところ、 意識消失もなく、
軽く頭を振る程度の発作で済むことができたのです。

これはとても嬉しい体験でした。
もちろん一度の経験で全てを語ることはできませんが、その後、
蓮が腹痛と思われる体調不良を起こした際もTタッチを行ったところ、
いつもの体調不良よりも早く回復することができたのを感じました。

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蓮 「Tタッチしてもらったおかげか、お腹痛いの早く治ったよ。ありがと。

パートナーの具合が悪いとき、飼い主さんとしては何とかしてあげたいと思うものです。
また、何もできないということに多大な無力感や罪責感を感じることも多くあります。
パートナーがもう助からない状態になってしまった場合、これらの無力感や罪責感が
クリティカル期やペットロスの悲しみを一層深めてしまうことにもつながります。
「パートナーに対して何らかの働きかけを持つことができる」ということは
飼い主さんの心の在り方にも大きく作用するのです。

このTタッチですが、講習やワークショップも行われていますし書籍も販売されています。
「ホリスティックケア・カウンセラー養成講座」でもTタッチの概要が学べます。
愛するパートナーに何かできることをお探しの飼い主さんは、試してみてはいかがでしょうか。

蓮 「ほら…かばさん、宣伝!宣伝!」

おっと。

AtaraxiaのドッグトレーニングやサービスでもTタッチを取り入れていますよ!!